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という人たちを温かく受け入れてくれます。
それから3つ目のケアという次限は、周囲の環境です。物理的にきれいであることですし、静かであることです。それから、涼しさとか温かさ、それを患者さん自身が管理できる状態になっているのかどうか、夜は暗くて休めるように、昼間は陽の光が入って明るいか。自分の働く環境がどうのこうのというのでなく、患者さんのおかれた環境がどうなっているのかという話です。
ナイチンゲールがこのことをいちばんよく研究していたのではないかと思います。患者さんの周りの環境に心を砕いていろいろやっていました。現在の私たちの環境よりずっとひどかったのです。衛生という時点からナイチンゲールは始めなければならなかった。不潔なところでは看護もケアもないわけです。病気も治るはずはない。ナイチンゲールの始めた衛生という考え方は現代においても忘れてはならないことです。
次が社会的環境です。家族の中の患者、それから社会の中の患者、近隣の中の患者、国の中の患者ということです。それから、患者の同じ年代の人たち、私たちが年をとった項と、いまの年をとった人たちとも環境が違う。
この4つの次限それぞれにおいて評価をすることが大切だと思います。問題があるのか、いますぐその問題を解消する必要があるのか、そういう現状の評価から始める必要があると思うのです。その次に何をすべきかということですが、それをまず緩和する、ずっと緩和されるということが大切だと思います。
最後の私たちが考えなければならないことは、一人一人をなぐさめ、快適という状態に患者さんを置けるかどうかということ、つまり私一人で何ができるかということです。看護のプロセスの中でいろいろと学ぶ技術があります。まずアセスメントをし、目標を設定する、それから客観的な測定値や基準に照らし合わせてプランを立て、それを実行して、そしてそれを実行したかどうかフォローする。目標を達成できたのであればいいし、そうでなければもう一度試みる。私は学生に、自分の手で実際に何ができるかという技能を教える工夫をしています。ナースが教室で教えたプロセスを現場で立派に果たしているのを見て、本当に頭が下がる気がします。患者さんの病室に入っていくと、そこになぐさめのケアがあるかないかということはすぐにわかります。そして、それが続いているかどうかも患者さんの顔を見ればすぐわかるわけで、そういうケアをナースがやっていることに本当に尊敬を覚えます。

 

ナースは患者を助け、支えていく

Bertman 看護を教えるにしても、ビジュアルの資料は大切です。そして、ケーススタディをビジュアルで確かめあって、理解するということです。また、精神的に変革することも見ることによって確認できます。こうしたイメージで何を見ているのかを確認したいと思います。同じイメージを見てもみなさんの視点が違うから、見ているものが違うということに気がつかれるのではないかと思います。患者さんとの人間関係をつくる上において、うちのナースは医師との関係についていろいろといいますが、一つ一つ視点が違うということで、そこから自分自身との対決というのか、切り口がわかるだろうと思います。
B.Kastenbaum さんから、人の話を聞く、患者さんの話を聞くことがどんなに大切かという話がありましたが、それに加えて私からは患者さんのいうことを聞いて、その患者さんに対して患者さんの心の中の小さな声、自分の声を聞いてごらんなさいということを勧めることができればという気がするわけです。
たとえばこの絵(映画『生きる』のカット)から、診断から死に至るまでという段階を見るわけですが、道徳的に重要な域値と危機的なポイントがあるということがわかると思います。診断を聞いた。これはまず重要な危機のポイントです。診断名を聞くことによって死との対決という場に出くわすわけです。

 

 

 

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